「英雄復活リベンジ・オブ・ジャスティス」
第3部「宇宙編」

ゲームマスター:いたちゆうじ

【参加募集案内】(第3回《通算第9回》/第3部《本編全3回+後日談編》)

サブタイトル「スーパーガーディアン大戦の巻」

 霊峰・富士。
 その山頂に、人馬一体型の黒ずくめの騎士が槍を高く振り上げる。
「永遠(とわ)の冷気よ、日本を包め!」
 デッドロードが槍を天高く振りあげると、すさまじい冷気がほとばしった。
 冷気は、富士山の上空から日本中に広がってゆく。
「うわー、寒いー!」
「助けてー、カイロ欲しい!!」
 日本中から、人々の叫び声があがる。
 日本のほぼ全土が分厚い冷気に覆われ、激しい降雪に見舞われた。
 湖や沼のほとんどが、氷に覆われる。
 電車はストップし、飛行機も飛ぶことができない。
 道路も凍りつき、都市の機能が停止した。
「ふふふ。さあ、どうする? このまま、冷気は世界中に広がってゆくぞ」
 デッドロードは笑った。

「テレビの前のみなさん、お元気ですか? 凍死していないでしょうか?」
 テレビモニタに映し出された、凍りつく街並をバックに、顔を真っ赤にして、鼻水を垂らしたリポーターが消え入りそうな声を絞りだしている。
 デッドロードの巻き起こした永遠の冷気によって、東京はいまやモスクワより寒い都市となっていた。
「4月に雪が降るなんて! 4月に街が凍るなんて!」
 いまにも東京都民の叫び声が街並から聞こえてきそうである。
 いや、そんな叫び声さえ、枯れ果て、凍りついたであろうか。
 このままいけば、東京の生物はその大半が死に絶えることは確実だった。
「道路が凍りついたせいでコンビニに仕入品を運ぶトラックも往来が不能となり、まさにライフラインのストップした状態でみなさんは生き伸びてらっしゃることと思います!」
 ぶかぶかに厚着したリポーターも、いまにも倒れそうだ。
 みれば、鼻水も凍りつき、つららと化している。
「政府は、富士の山頂に降り立ったデッドロードを、犯罪組織デッドクラッシャーズの大幹部デッドナイトと同一人物と認定し、その対策を緊急に検討しているところです! みなさん、何とかがんばりましょう! 政府は、きっとデッドロードを駆逐する対策を立案することでしょう! あるいは、アーマードピジョンが! あ〜、もー何とかしてくれ! 寒すぎるよチクショー!」
 わめきたてるリポーター。
 雪と氷の風が吹き抜け、リポーターを白い斑点で埋め尽くして、みえなくさせた。

 この危機に際し、ガーディアンたちの携帯端末に、ついにミスター・ゼットからの通信が入った。
「諸君、事態は急を要する。デッド星人の地球襲撃艦隊は破壊され、デッドスペシャルカノンを搭載したデッドダゴンも宇宙の塵となって消えた。だが、地球とデッド星をつなぐ『扉』をとおってデッドロードが日本に現れ、富士の山頂から恐るべき冷気をうみだして、日本中を包みこんでしまった。このままでは、日本は雪と氷に閉ざされた死の世界と化してしまうだろう。デッドロードはデッド星の王であり、デッド星に充満する闇の力の吸収に耐えきって、恐るべき力を身につけた存在だ。倒すのは至難のわざだろう。だが、やるしかないのだ。スペシャルフラッシュの力を最大限に発揮して、神の光でデッドロードを葬りさって欲しい。フラッシュの力はロードに通用しないとの報告があったが、私はそんなことはないと考えている。志ある者が力をあわせてフラッシュの力を発動すれば、きっとロードを倒すことができるはずだ。光のクリスタルもエリカに持たせるつもりでいる。なお、きみたちの一部が発動に目覚めているROJについては、その使用を全面的に禁止する。命令に従ってくれそうにない者は、ある施設に監禁されることになるだろう。仮にROJを使用して勝ったとしても、報酬はない。それでは、健闘を祈るぞ。デッドロードを倒せば、デッド星人ももう地球に攻めてくることはなくなるはずだ」
 通信が切れた後、秋葉原のメイド喫茶に特設されたコタツに入って寒さをしのいでいたガーディアン
たちが、いっせいにガヤガヤやり始めた。
「どうせ、日本政府はたいしたことはできやしない。アメリカは何かやるかもしれないが、俺たちがロードを倒すしかないだろう」
「でも、どうやって? ロードを倒すことなんて、本当にできるのか?」
「俺たちにはレッドクロスがある。ゼットのいうように、フラッシュの力を発動して全力で立ち向かえば道は開けるはずだ」
「本当にそう思うか?」
「ああ。無論、ほかの手もないわけではないだろう。闇のクリスタルと光のクリスタルを合わせれば宇宙を崩壊させられるほどの力が生まれるらしいし、それに、聞いてるか? フルメタルの様子がおかしいって」
「おかしいって、何が?」
「宇宙から帰還した後、変な図形がコクピットのディスプレイに浮かぶようになったらしいぜ。デッドロードが地球上で闇の力を増大させるにつれて、その図形に変な線が浮かびあがるらしい。何かの力の発動を予告しようとしているのかもしれない」
「力って、フルメタルには何が隠されているんだ?」
「さあ、設計者も死んだからな。ただ、噂じゃ、設計者はフルメタルに禁断の次元転換装置を搭載したらしい」
「次元転換装置? 何だそれは?」
「さあ、俺が知るわけないさ。ただ、噂じゃ、この世界をもう1度つくりかえることも可能らしいぜ、フルメタルの真の力が発動すれば」
「それって、ハッピーエンドなのか?」
「さあ。少なくとも、俺たちがいなくなることは間違いない」
「さっきから聞いてると、ロードを倒す力があるにしても、ろくなことがないな。宇宙が崩壊するとか、世界をつくりかえるとか……。究極のスペシャルテクニックといわれるROJも、似たようなものなんだろう?」
「ああ、この世界と、別の並行世界がひとつに融合し、人は肉体を失うらしいが……もしかしたら、そんなに悪いことじゃないかもしれない。まっ、報酬が出ないような手段を使うつもりはないけどな」
「報酬とか、そういう問題かよ!」
 そのとき、また通信が入った。
「いい忘れていたが、先日、若狭湾から日本に上陸し、我々の攻撃から逃れた再生超甲人機たちが京都に向かっているとのことだ。道中でなぜか仲間を増やし、厄介な存在となっているらしい。ロード打倒を優先すべきときだが、再生超甲人機たちと闘う別働隊も結成できたらと思っている」
 そこで、また通信が切れた。
「京都か。京都も凍りついているというけどな」
「再生超甲人機は、倒しても報酬安いしな」
「だから、報酬の問題なのか!? 俺たちがロード打倒に失敗したら、日本が、いや世界中が冷気に包まれて滅びるかもしれないんだぞ!?」
 ガーディアンたちは、いつ果てるともなく語りあう。
 そんなやりとりを、メイド喫茶のメイドたちが不安そうにみつめていた。
「ご主人様、地球の平和を守って下さいね。この冷気を、打ち払って下さいね」
 祈るように囁くメイドたち。
 そんなメイドたちの中に、なぜかエリカの姿が。
「この光のクリスタルで、きっと日本を守ってみせます! あの人も、あの人もきっと私に協力してくれるはず。そして、全部が終わったら、二人で南の島で暮らすんです!」
 光のクリスタルを握りしめ、エリカは熱く叫ぶのだった。

 東京の郊外。
 アーマードピジョンのガーディアンたちが怪我をしたときに手当を受ける、巨大な医療施設がそこにあった。
 その医療施設は、いま、ものものしい雰囲気に包まれている。
 玄関は封鎖され、武装した警備員たちが廊下を巡回する。
 ROJに目覚めた、一部のガーディアンがこの施設に幽閉されているのだった。

 そのころ。
 太平洋上を、アメリカ軍のスーパー爆撃機が日本に向けて高空を突き進んでいた。
 その爆撃機には、原爆が搭載されていた。
「大統領、本当にいいんですか?」
 ホワイトハウスで、アメリカの副大統領が大統領に問うた。
「デッドロードは、極めて危険な存在だ。日本を壊滅させたら、次は我々を狙うだろう。ガーディアンたちが失敗したなら、究極の手を使わせてもらう」
「しかし、原爆で奴を倒せますか?」
「やってみなければわからんさ。地球の周囲を旋回している、デッド星人の艦隊の破片を落下させる案も考えている」
「仮に成功したとしても、日本は……」
「日本だけの問題ではない。世界が滅びるかどうかというときなのだ」
 大統領は、険しい顔でうなずいた。
 まるで、自分自身にいって聞かせるように。

 そして、京都。
「デッド、デッド、デッドマンモスゥ!」
 どこからか現れた新型の超甲人機が、再生超甲人機、デッドモグラとデッドムササビを従えて、凍る街並を突き進んでゆく。
「この混乱の隙に、この街を占領する! みろ、この、分裂した爆弾の姿を!」
 デッドマンモスたちの後ろから、現れたのは。
「ペーン、ペーン!」
 再生超甲人機、デッドペンギンが無数につき従っていた。
 逃げまわって自爆するだけの存在として有名なデッドペンギンだが、ここまで量産されると厄介だ。
「ウガー! たまたま、丹波山地にデッドクラッシャーズの超甲人機製造工場があったおかげで、開発中だった私も、同志の力で動けるようになった! かくなるうえは、破壊に破壊を重ね、我らが王、デッドロード様に少しでも貢献できれば幸いだ! ぱお〜」
 デッドマンモスは吠える。
 長い牙が、灰色の空に突き刺さるかのようだった。

 果たして、どうすればデッドロードを撃破できるのか?
 そして、凍りついた日本を襲撃する再生超甲人機軍団を蹴散らすことはできるのか?
 アメリカ軍の原爆作戦を阻止することができるのか?

 全ては、きみたちガーディアンの働きにかかっているのだ……。

【シナリオ登場キャラクター(NPC)】

☆デッドナイト☆
 デッドクラッシャーズ所属だが、特定の支部には所属せず、自分の意向で自由に行動できる謎の戦士。黒い馬にまたがって空中を駆けまわる騎士型。単独でアメリカのペンタゴンを壊滅させたという実績を持つ。その正体は古代アトランティス帝国の王族で、アトランティスが海底に沈んだとき、秘術によって自らの魂をオリハルコンの鎧に封入し、不死の戦士としてよみがえった。ガーディアンとの闘いで鎧を破壊され、魂だけの姿となった彼は、地球とデッド星をつなぐ『扉』をくぐってデッド星に転送され、以後の消息は不明である。必殺技「デッドソード一閃」

☆デッドロード☆
 デッド星に突然現れ、それまでの王を倒して革命を起こし、新しい王となった謎の戦士。全身黒ずくめの鎧に覆われ、人間と馬が一体化したケンタウルス型の姿をしている。剣と槍、そしてデッドフォースと呼ばれる暗黒エネルギーを全身から噴出させて攻撃する。必殺技「デッドブリザード」「デッドガード」「デッドロイヤルストレートフラッシュ」

☆ミスター・ゼット☆
 グレイト・リーダーに代わるアーマードピジョンの新リーダーとして登場した謎の男。宇宙的スケールでものを考えられるらしい。知的でクールな印象を与える彼だが、その正体はグレイト・リーダー以上に謎に包まれている。
 
☆エリカ☆
 デッドクラッシャーズのアジトで亜細亜博士の助手を務めていた少女。光のクリスタルを持って組織を脱出したがネコ男爵につかまり、瀕死の重傷を負ったがレッドクロスの力で復活、武装メイドに変身できるようになる。アーマードピジョンではレスキューチームのリーダーを務める。地球とデッド星をつなぐ『扉』の奥にひきこまれていたが、無事に帰還。

☆滅入芸太郎(めいる・げいたろう)☆
 国会議員であり、与党である自衛党において第2番目の規模の派閥を率いる。アーマードピジョン支持派であり、アメリカ政府主導で提出された「対アーマードピジョン法」法律案に強い反発を示している。アメリカ大統領と会談し、デッドロード打倒に向けガーディアンと協力する話を示されたが?

☆デッドマンモス☆
 デッドクラッシャーズの超甲人機製造工場で、開発途中で日本支部が壊滅したため放置されていたが、日本に侵入した再生超甲人機軍団によって稼働を始めた超甲人機。寒さに耐える分厚い毛皮の持ち主で、長い牙を相手に突き刺す特攻攻撃が得意。必殺技「デッド串刺し」

☆再生超甲人機軍団2☆
 前回倒されなかったデッドモグラとデッドムササビ、そして量産された無数のデッドペンギンで構成されている。デッドマンモスに率いられて、京都の街に乗り込んできた。

【アクション案内】

i1.スペシャルフラッシュの力でデッドロードと闘う
i2.フルメタルの力でデッドロードと闘う
i3.ROJを発動する
i4.1から3以外の力でデッドロードと闘う
i5.再生超甲人機軍団と闘う
i6.アメリカ軍の原爆投下を阻止する
i7.宇宙からデッドロードに攻撃を仕掛ける
i8.施設にとらわれたガーディアンを救出する

【報酬一覧】

・超甲人機を倒す 1体につき1、000万円
・再生超甲人機を倒す 1体につき500万円
・デッドロードを倒す 1億円
 ※ROJ発動の場合報酬なし。
・アメリカ軍の原爆投下を阻止する 2,000万円
・一般市民の救助活動に多大な貢献をする 1、000万円
・破壊活動しそうなガーディアンを制止する 1、000万円
 そのほか、作戦中の功績に応じて随時報酬が支給されます。
 特に功績がなかった方にも、日当として5万円だけ支給されます。

【マスターより】

 ついに最終回です。なお、この後も、残された謎を解明したり、ガーディアンたちの今後を示す「後日談」シナリオを1回運営して終了となる予定です。前回宇宙にあがったガーディアンたちは、既に地球に帰還しているか、あるいはいまだに宇宙空間をさまよっていることにしてもいい(笑)です。宇宙空間に浮かぶ艦隊の残骸を日本に落とすのがコロニー落としの代わりということで。誰にいってるんだ? あらたに宇宙にあがっても構いませんよ。ラストなので気合いを入れていきましょう。デッドロードを倒すには、やはりROJでしょうか!?

【次回サブタイトル】(予定)

「発動」