ゲームマスター:烏谷コウ
チェスの国のハートの女王の城に怒号が響き渡る。 「どいつもこいつも役立たずなんだから!首をはねるわよ!!」 女王の証である杖を振り回し、家来や使い魔のトランプ兵たちに当り散らしているのはハートの女王。 この国を治める若きキゾクである。ちなみにキゾクとは王族や貴族に多い、牛の特徴を備えた種族である。 女王の機嫌はすこぶる悪い。 なぜなら、数日前に町に現れた魔王"ジャバウォック"が国のあちこちで暴れ回っているからだ。 ついでに、同じく数日前に現れた勇者"アリス"が国のあちこちで暴れ回っているからだ。 「魔王が破壊活動をするのはいいわよ、魔王なんだから!でもなんで勇者まで国のあちこちで暴れ回ってるのよ!ケンカなら魔王とやりなさいな、魔王と!!」 もっともな話である。 そこへぽてぽてとのん気な足音を立ててやってきたのはシロウサギ。兎の特徴を持つアソビニン族の少年だ。ハートの女王に仕える従者の一人であるが、何故か巨大なハト時計を背負っている。 「や〜、遅刻しちゃいましたー。出かける前にどの時計を持っていくか迷っていたら遅くなっちゃって。ハト時計って持ち運ぶと重いんですねー」 がががが、がたんごとんばきっ!と、無理矢理ハト時計を部屋に運び込む。むしろ何故お出かけ用にこいつをセレクトしてしまったのか。 ハト時計を引きずる少年をハートの女王がきっ!と睨む。 「また遅刻よ、シロウサギ!あんたやる気あんの!!?」 「ありますよー。もりもりあり過ぎて持て余してますよー」 のん気な口調と返答に、ちょうど飛び出したハト時計のハトの「ぱっぽー♪」 という音が重なる。やる気があるようには到底見えない。 そんなシロウサギを見て、女王の怒りが爆発した。 「おだまりっ!!やる気があるなら今すぐ魔王だか勇者を捕まえてここに連れて来るか、この状況をなんとかできる者を探していらっしゃい!でないとお前の首をはねてやるからね!」 「ええ〜!?そんなぁ〜!!わ、わかりましたよ、いってきます!」 シロウサギはハト時計を背負っているとは思えないくらいの速さで駆け出した。 そりゃもう、脱兎のごとく。 |
k1.勇者アリスを探す k2.魔王ジャバウォックを探す k3.その他 |
お久しぶりです!一巡してまたチェス世界へと戻ってまいりました! 今回は皆さんには勇者アリスと魔王ジャバウォックの戦いに巻き込まれてもらおうと思っております。不思議の国のアリス風の世界でのドタバタを楽しんでいただければ幸いです。 アリスと言いましてもそこは烏谷の書くものですので、アレですアレ。書けば書くほど別物になっていきそうです。その辺はのびのびフリーダムにやらせていただく予定ですので、暖かい目で見守ってやってくださいませ。 |