ゲームマスター:秋月雅哉
●神龍国ドラグニール 神龍国ドラグニールの城下町を、衛兵たちが練り歩く。治安維持のためにしては物々しい彼らの面持ちはどこか晴れない。 市民は必要最低限の時以外は外出しなくなったため大通りも寒々しい。 もともとはにぎやかな町だった。笑い声や商品を値切る声、客引き。そんな生活の音が今は息をひそめているように見える。 ――どうしてこんなことになったのだろう。 そんな声がどこから聞こえてきそうだ。数少ない街を歩く人々のため息が重い。 衛兵たちはそんな待ちゆく人々を捕まえ、レジスタンスは、または落ち人を見なかったか、と聞いて回る。 誰もが積極的には答えようとしない。ただ生きることに倦んだように首を振って立ち去ろうとする。 それを無礼だと憤る衛兵は少なかった。彼らもまた、どうしてこんなことになったのだろうという思いから抜け出せていないのかもしれない。 もっと明るい世界が待っているはずだった。たった一つを差し出せば、豊穣は約束されいたはずだった。 それを許さなかったのが国王だ。彼らは国王の逆鱗に触れた。 ドラグニールで最も重い刑罰である火刑が何度も繰り返されるようになって。この国はもう駄目だと逃げ出そうとする民が出た。 そして、国王を打ち倒そうというレジスタンスの集まりも、次第に勢力を広げ始めた。 王がいなくては国が立ちいかない。 王がいては国が立ちいかない。 相反する二つの感情に、ドラグニールは大きく割れようとしている。 治安維持と、国王の「探し人」のために衛兵や騎士団が街を歩き回る、物々しい気配もこの国にとってはもはや見慣れた光景で。 世界が静かに壊れていく音が聞こえる気がする、と民はそっと目を閉じ耳をふさいでいる。 その町からは、荒廃の香りがした。 ●落ち人たち 今、ドラグニールは荒れている。その狂乱は落ち人の数にも影響しているのかもしれない。 いつもなら数年、数十年に一度の落ち人が、今回に限っては一度に幾人も訪れている。 そして彼らは記憶を失っていた。そんななか、出会ったランスと名乗る近衛騎士団長に出会うことで、あるいは街中に存在する密やかなレジスタンスの噂に触れることで彼らはドラグニールでの立ち位置を見出す時期に来ていた。 |
m1.ランスの言い残した「火と赤銅亭」を探し、訪ねる。 m2.町の中で聞いた会話「レジスタンス」について調べる。 m3.その他 |
【マスターより】
一言 国王サイドに深くかかわるか、レジスタンス側に深くかかわるかの分岐点になります。 どちらの側についても、その側を「自分の味方」だと定義する必要はありません(国王側についた状態で暴君になった理由を探り、いさめることなどもできますし、レジスタンスを内側から瓦解させたり、間を立ち回って仲裁を目指すことも現時点では可能です) 何をどういう目的で調べるか、どういった感想を抱くのか。 台詞や心情などをあわせて描写していただけますと助かります。 |