ゲームマスター:田中ざくれろ
【シナリオ参加募集案内】(第1回/全2回)
| ★★★ 朽ちかけた歴史ある赤煉瓦の屋敷をとり壊す風景もある、オトギイズム王国の王都『パルテノン』。 残念ながら庶民の識字率がそんなに高いとはいえないこの町で。和風『アシガラ』地方の文化を積極的に取り入れて教育水準を上げようとしている政治的試みがあった。 『寺小屋』だ。 町の子供達を集めて私塾の体で開設されているその簡易な教育機関は、町中の家を子供達の為に開放し、無報酬で国語や和算などの勉強を教えるというもの。 アシガラ地方の庶民の識字率は高い。瓦版や貸本屋などの文を読む庶民文化が発達していったのも、この寺子屋に子供達が通うという習慣のたまものなのだ。 文化の発展や差別の撤廃、参政の活発化など国民の知的水準を上げる為にはやはり教育は欠かせないと為政者は信じていた。 と、そのような事情を背景に、パルテノンの町中に点在する寺小屋の一つ。 『ネズミの巣通り』に建つ一軒の寺小屋も日日、子供達が通って字の綴りや読み方、あるいはもっと上級者向けの勉強を行っていた。 他の寺子屋とまるで違わないこの小屋に今日、今までの日常になかった事件が起こった。 この寺子屋で唯一の教師として働いていた女性『バブーシュカ』の妊娠だ。 ある日、身重である事を子供達に発表し、以後、妊婦として長い期間、教師業を休む事となった女教師。単なる円満な結婚生活の成り行きとして起こったこのイベントに、この寺小屋に通う悪戯好きの子供達もこれから永い間、彼女の授業が受けられなくなるのにさぞやがっかりしているだろうと思いきや。 「……赤ちゃんは何処から来るんだろう?」 子供の一人がそんな疑問を思い浮かべて言葉にしたものだから、授業時間の終わった寺子屋の中でその子を中心に少年少女の厚い輪が作られる事となった。 皆は唸ったきりで言葉を返す者がいない。何せ、この場にいるのは年の頃は四歳から一〇歳ほどの、最年長といえど微妙に「大人への階段を上がる年頃」に今一つ届かない者達だ。そろそろそういう話題が気になり始めても実際にそれは現実的な体験というよりはファンタジーの領域に入ってしまう未熟な『未成年』なのだ。 「そういうのって訊くと父ちゃんや母ちゃんに怒られちまうんだよなぁ」 最年長の少年が深く腰掛けた椅子の前脚が上がるほど大きく身体を仰向かせた。 え、そうなの?という顔をする子もいるが、大体の子供は最年長の言葉にうんうんとうなずいた。 「……で、どうする」 子供の一人がそう訊くも結局、最年長も答がない。 永く唸った。 するとその時、女の子の一人が口を開く。 「赤ちゃんはコウノトリが運んでくるんじゃない?」 「いや、それは大人達の罠だと思うな」 すぐさま狐の印象のずるがしこそうな少年が否定する。 「罠って何だよ」 「いや、それは……罠だと言ったら罠なんだよ!」 「赤ちゃんはキャベツ畑に大人達が採りに行くって言ってたような……」 「木の股から生まれるって兄ちゃんがが言ってたよ」 「人間の大人が言う事には賛成出来ない」 「じゃ、何だよ。人間の大人じゃない奴に訊くのかよ」 「人間じゃない大人って何処にいるの」 「なんか『冒険者ギルド』に沢山いそうだな」 「んだ。困った時の冒険者頼みって大人がよく言うじゃねえか」 「冒険者ギルドか……」最年長の少年が椅子を傾かせる。「依頼……してみるか?」 「こんちゃ〜。紙と本の納品に参りましたぁ〜」 その時、荷を積んだ台車を押しながら納品業者が寺子屋に現れた。これはオトギイズム王国唯一の株式会社『エタニティ』の社員。最近、製紙業と活版印刷に取り組んでいて、寺子屋にそれらを卸して販路を開発しようとしている。最近の王国で庶民に手に入りやすい白い安価な紙や本の類が出回り始めたのもエタニティのおかげだ。 「あ、ちょうどよかった。業者のおじさん、赤ちゃんが何処から来るかを俺達に教えてくれねえか」 「へ? 赤ちゃんが何処から来るか?」 「ああ、そうだ。大人のおじさんなら知ってるだろ」 「大人……いや、おじさんも偶然知らないんだ。奇遇だなぁ……ははは……」 「なんだ、頼りねえ」 「そういうんなら誰か代わりに人身御供……じゃない、怒られてもいいような……じゃない、とにかく人間よりも知識を持ってそうな人間じゃない奴に訊くっていうのはどうだい」 「人間よりも知識を持ってそうな人間じゃない奴?」 「公園のレッサーキマイラとかさ」 業者の答に子供達は「えー!?」とブーイングめいた声を出す。 「駄目だよ。あいつ馬鹿だもん」 「あいつ、お笑いつまんねーもん」 「こらこら。子供が大人を馬鹿とか言っちゃいけないぞ。つまらないのには同意するけど」 「じゃあ。レッサーキマイラに訊いてみるか。ダメモトで」 「俺は冒険者ギルドに行って、冒険者にこの質問に答える依頼してみよ」 「依頼は金をとられるんじゃねえの」 「金なら俺達で?き集めてみるよ。まあ小遣いとお駄賃以上は出せねえけど」 こうしてネズミの巣通りの寺子屋の子供達は二手に分かれ、それぞれ冒険者ギルドと公園へ向かった。 質問は「赤ちゃんは何処から来るか?」「空は何故、青いのか?」の二つに決まった。大人に直接質問すると怒られる予感がするので、興味の性質をごまかす為に質問を二つにしたのだ。 子供達はそれぞれ真実を求める為の街を歩いていく。 果たして彼らの望みに沿う答を与えてくる者に会う事は出来るのだろうか。 ★★★ |
【アクション案内】
| z1.冒険者ギルドで子供達の質問に答える。 z2.公園のレッサーキマイラの所に遊びに行く。 z3.その他。 |
【マスターより】
| ★★★ うーん。赤ちゃんは何処から来るんでしょうね。 全く解んないや。ばぶばぶ、ぼく一歳。 さて次回、冒険者ギルドに行くにしても、公園に行くにしても子供達の質問に答えてあげてください。 ズバリ答えても、わざとボケた答を返しても構いません、 二つの質問の内、両方に答えてもどちらか一つだけでも構いません。 では、次回もよき冒険があります様に。 ★★★ |