「花咲く季節」 第1回

ゲームマスター:高村志生子

 自然の恵み豊かなサナテルは秋の豊穣祭がまもなく催されると言うことで、た くさんの観光客を迎え町に活気が満ち溢れていた。道にひしめく露店にはみやげ 物や食べ物が並び、覗き込む人、店主の愛想のよい掛け声がこだましている。
 ごったがえす人の群れをすり抜けるように歩いていたリオル・イグリードは、 とある街角を曲がったとたんにぐいっと腕を引かれて危うく転びそうになった。 思わず上げようとした怒鳴り声は、しかし相手の声にかき消された。
「きゃー、リオルくんー久しぶり!大きくなったねー」
「リーナ!?君も来ていたんだ?」
 リオルの腕を取ったのはリーナ・ブラウディアだった。リーナは悪びれる様子 もなく、どこかほっとしたような表情を浮かべてこくんとうなずいた。
「うんそうー。あ、ちょうど良かった。領主様のお館ってどこかな。案内して♪」
「まさか、また迷っていたとか」
「えへへ、一緒に行ってくれる?今回はねー、ご領主の子息の護衛なんだ」
「護衛?ああ、なんか町の噂で聞いたな。最近やけに事故にあってるとか」
「そうらしいねー。例えば……」
 リーナが言いかけたときだった。
 少し離れた場所を当の子息であるファリッドは、自らの危機を感じているのか いないのか、いつものように館を抜け出して町の散策に繰り出していた。慣れた 様子で人ごみをかわして行き、大通りに出る。それを影で見ている姿があった。 オールバックの体格のいい男がファリッドをそっと指差し、傍らにいたテネシー ・ドーラーに告げた。
「馬車の音が聞こえる。あれを暴走させるから」
「わたしは彼の後ろに回って、ですわね。グラハム様、タイミングを合わせてく ださいませね」
「そっちこそしくじるなよ」
 グラハムの言葉にテネシーが酷薄な微笑を口の端に乗せる。そして通りを横切 ろうとしていたファリッドの背後にさりげなく近寄っていった。グラハムはやっ てくる馬車が目の前を通り過ぎるとき、馬の足元に網を投げ込んだ。走っていた 馬の足が網に絡まる。急なことに馬がみもがく。すかさず花火を鼻先に放り出し 馬の目の前で弾けさせた。興奮した馬が網を引きちぎって勢いよく駆け出す。御 者が手綱を引いても馬の勢いは止められない。騒ぎに身を乗り出したファリッド の背中にテネシーの手が当てられた。
「うわっ」
「危ない!」
 間一髪ファリッドを救ったのはメイド服を着たトリスティアだった。倒れ掛か るところを渾身の力で引き戻す。勢いを利用して、ひらりとスカートのすそをひ るがえらせながら、トリスティアは背後にいたテネシーにけりかかった。テネシ ーはファリッドを押し出すと同時にその場を離れようとしていたので、かろうじ てそのけりをかわせた。そのまま人ごみにまぎれていく。追いかけようとしたが 、テネシーの小柄な姿はあっという間に視界から消えて失せた。顔をしかめたト リスティアにファリッドが声をかけた。
「ありがとう、助かったよ。でも今の彼女は?」
「彼女がキミを突き飛ばしたんだよ。きっと馬車が暴走したのも偶然じゃない。 どこかに仲間がいるはずなんだ」
「突き飛ばしたって……」
 その騒ぎはリーナたちの耳にも届いていた。悪い予感がして走り出す脇を、1 人の青年が駆け抜けていく。後姿を見てリーナが声を張り上げた。
「ちょっと!アルティさんでしょ、今の騒ぎ、まさか」
「まさかとは思うけれどな。確かめておかないと」
「誰?」
 リオルの問いにリーナが走りながら答えた。
「ファリッド様の側仕えのアルティさんだよ」
「ファリッド様!」
 アルティがファリッドを見つけて怒鳴る。トリスティアと向き合っていたファ リッドは、その声に首をすくめた。トリスティアがまだ周囲を警戒しながら言っ た。
「アルティ、案の定、狙われたよ」
「じゃ、やっぱり今の騒ぎは」
「暴走馬車の前に突き飛ばされたんだ。残念ながら犯人には逃げられちゃったけど」
「だからあれほど1人で出歩くなと……!」
 アルティににらまれてファリッドはばつの悪そうな顔になった。それから不思 議そうにトリスティアや、アルティと一緒にやってきたリーナたちを見つめた。
「彼女たちを知っているのかい」
「身辺警護に雇った者たちですよ。念のためと思っていたんですが、正解だった みたいですね」
「よろしく!」
 トリスティアがにこっと笑って手を差し出す。戸惑いながらその手をファリッ ドが握り返す。その姿を見ながら、リーナがアルティに問いかけた。
「えーと、あの方がファリッド……さま?優しそうな方だね」
「ああ。人の良いのがいいところなんだけど」
「ふうん、アルティさんにはそう見えるんだ」
「それがどうしたのか?」
 アルティに逆に聞かれて、リーナがかすかに赤くなりながらあははと笑った。
「ううん、ただアルティさんにはファリッドさまってどう見えてるのかなぁって 、ちょっと気になって。ダメ、かな」
「いや、かまわないが。本当に、人に恨まれるような方じゃないんだが」
 アルティが表情を曇らせると、ファリッドと話していたトリスティアが振り返 った。
「とりあえず館に戻ろうよ」
「やれやれ」
 残念そうなファリッドを、アルティが再びにらみつけた。

 その頃、逃げ出したテネシーは人気のない路地に入り込んだ瞬間に、ルーク・ ウィンフィールドに壁に押し付けられていた。
 背後に転移されたので気配に気づけなかったらしい。のど元に銃剣の切っ先を 突きつけられて、テネシーが無表情になる。同じく感情の見えない顔でルークが 声を発した。
「なぜ彼を狙った」
「なんのことですの」
「突き飛ばしたのは見ていたんだ。その前に誰か他の奴とも話していたな。あれ が雇い主か?」
「知りませんわ」
 くいっと銃剣がテネシーののどを持ち上げる。テネシーは平静を装っていたが 、わずかに眉がひそめられていた。
「女だからって遠慮はしないぜ。知ってることは吐いてもらおうか」
 テネシーは無言で手先を動かした。はめていた腕輪から風が巻き起こり、押し 付けられていた銃剣が引き離される。舞い上がった砂埃がルークの視界を奪った 。その一瞬の隙にテネシーは逃げ出していた。
「ち、逃げられたか。けど、これでファリッドが狙われているってのははっきり したな。やはり噂どおり、狙っているのは義母とか言う奴か?あまり仲が良くな いと言う話だしな。弟がいるそうだから、後継者問題か……。結婚をせかされて いるらしいしな」
 とりあえず直接の犯人が2人いることは確かだ。もう少し情報収集を続けるべ く、ルークは街中に戻っていった。

 館ではアゼルリーゼ・シルバーフェーダがメイドのサクヤと会っていた。サク ヤはアゼルリーゼの申し出に目を丸くしていた。
「メイド服をお貸しするのですか?ダンスパーティー用に?それはかまいません が、でもサイズがあるかしら」
 サクヤが戸惑うのも無理はなかった。なにしろアゼルリーゼは身長180cm と女性としてはかなり長身だったからだ。さほど背の高くないサクヤはアゼルリ ーゼを見上げてしまう。アゼルリーゼの顔立ちはそれでも愛らしい。おねだりの ような可愛い表情を浮かべられて、サクヤが苦笑した。
「探してみるわね。多少は我慢してもらえるとありがたいけれど」
「それはしょうがないでしょ。わかってるわよ」
 メイドたちの控え室に案内されて、他のメイドたちと和やかに談笑する。女性 が噂話がすきなのはどの世界でも同じなようだ。何気なく場に溶け込んだアゼル リーゼは、わずかな間にメイドたちから領主一家の情報を仕入れていた。
 いわく、4人兄弟の中で末っ子のみ後妻である今の夫人の子供であること。夫 人が厳しい人で、表向きはともかくそれほど子供たちと仲が良くないこと。長男 の結婚話など。差し出された服を受け取りながら、アゼルリーゼが聞いてきた。
「じゃあ、子供同士も仲が良くないの?」
「そんなことはないわ。ローダー様はお兄様たちを好きでいらっしゃるもの」
「サクヤはローダー様付だからよけいにそう思うんでしょう」
「あら、本当のことよ。ローダー様は良い方だわ。まだ幼いけれど、ファリッド 様よりしっかりしてらっしゃるわ」
 むきになるサクヤに礼を言いながらアゼルリーゼは館を後にした。

                    ○

 秋の観光シーズンの目玉である豊穣祭には、期間を通していくつかのイベント があった。その始まりが街の大広場で催されるダンスパーティーだった。よく晴 れ渡った朝、祭りの開始を祝して花火が打ち上げられる。ぽぽん、ぽぽんと軽快 な音が響き渡る。宿で夢うつつにその音を聞いていたアルヴァート・シルバーフ ェーダは、ベッドの上でしばらくぼーっとしていたが、はたと気づいて飛び起き た。
「やばい!祭りが始まってしまう!」
 人出を見込んで得意の大道芸で路銀を稼ごうと思っていたのだが、出遅れて場 所取りに失敗しては元も子もない。慌てて朝食をかきこみながら宿を飛び出す。 すでに道行く人の数は多くなっていた。その人混みをかき分けかき分け進むアル ヴァートの周囲で、光の玉がふわふわと漂っていた。
「ルクス、頼むね」
 アルヴァートの意識がふっと光の玉に向かう。それはちょうど曲がり角に差し 掛かったときだった。
「とにかく急げ……って、うわっ」
 どっしーん、どてっ、ふに。
「ふに?」
「あらあら」
 周囲への注意がおろそかになっていたため、角から出てきた人物と勢いよくぶ つかり転がってしまう。しかし痛くはなかった。なにやら顔が柔らかいもので支 えられている。押し倒してしまったらしいと気づいたアルヴァートは、慌てて立 ち上がろうとしてその柔らかいものに手をついてしまった。
「ご、ごめんね。って、うわあぁ」
「なにしとるかーっ」
「ミルル!」
 アルヴァートが触ってしまったのは、チルルの豊かな胸だった。側にいたミル ルが激怒してアルヴァートを蹴り上げた。アルヴァートの体が高々とすっとんで いく。小さな点になって、花火の上がる空できらりと光った。
「あ、白」
 ミルルが肩で息を切らせていると、ぼそりとしたつぶやきが耳に届いた。大き く足を上げたまま、ミルルが固まる。チルルが困ったようにほほえんだ。
「ミルル、今日はスカートなのよ」
「見〜た〜わ〜ね〜っ」
「不可抗力だよっ」
 ミルルににらまれて、アルトゥール・ロッシュがぶんぶんと首を振った。スカ ートなのを忘れて蹴り出してしまったのはミルルの方なのだが、それで恥ずかし さが消えるはずもない。すぱしーんとアルトゥールの頬が高らかに鳴った。
「痛〜」
「チルル、行きましょ」
「ごめんなさいね」
 照れ隠しにアルトゥールを張り飛ばしたミルルは、真っ赤な顔でチルルを引き ずって歩き出した。アルトゥールは赤くなった頬を押さえながら苦笑いしていた 。
 広場ではディック・プラトックがせっせと会場の飾り付けを行っていた。会場 の入り口に大きな門が作られている。先刻まではそれの飾り付けを行っていたが 、人々が集まり始めたので、今はやってくる人たち一人一人に、丹誠込めて育て た花を配っていた。
「気に入った相手がいたらそれでダンスの申し込みをしろよ」
 そう発破をかけている。早くからやってきていたファリッドもその花を受け取 っていた。ファリッドの側にはアルティはもちろんのこと、護衛役のトリスティ アやリーナもいた。護衛と言っても場所はパーティー会場。2人ともきれいにド レスアップしていた(と言ってもトリスティアはメイド服だったが)。リーナの 側ではなし崩しにつきあわされていたリオルが、きょろきょろと辺りを見回して いた。リーナが首をかしげた。
「リオルくん、どうしたの」
「ミルルたちが来ていない」
「そのうち来るわよ。女は支度に時間がかかるものよ。そういえば館でミルルと 仲良くしていたみたいね。気があるの?」
 リーナのからかいにリオルは無反応だったが、気にしているのは確かなようだ った。やがて姿を現したミルルを見て寄っていったのがその証拠だった。
 会場には様々な人が集まっていた。ダンスを楽しむ人ばかりではない。人出を 見込んで商売に励むものもたくさんいた。パピリオ・パリオールも会場の一角を 陣取って店開きをしていた。看板にはでかでかと「薬局・愛の蝶」と書かれてい た。なにやらきらめく小瓶が並べられている。黄色いミニスカートのピエロのよ うな帽子をかぶったパピリオは、あどけない表情で声を張り上げていた。
「いかがでちゅか〜意中の人を射止めるお薬でちゅよ〜」
 しかしわずか10歳程度の外見を持つパピリオのそんなうたい文句に引かれる ものは居なかった。いささか値が張ったこともある。関心を寄せてもらえないこ とにいらだったパピリオは強硬手段に出た。たまたま通りすがった佐々木甚八を 捕まえると、有無を言わさず薬を飲ませた。甚八が蒼白になってパピリオをふり ほどく。ずざざっと退いた背後に、甚八のペットであるソラが現れた。ソラは長 身の美女の外見を持っていた。パピリオが甚八を選んだのは、彼が同世代くらい に見えたからだったが、そこにソラという格好の相手が現れたので張り切って観 衆に言った。
「いかがでちゅか〜。この薬で彼は彼女のとりこに……って、あれ?」
 が、疑似生命体にほれるはずもない。ましてや甚八は筋金入りの女性アレルギ ーだった。相手が幼女の外見をしていたためかろうじて息を吹き返した甚八が怒 鳴った。
「効くかーっ」
「あれぇ?」
「ソラ、こうしている場合じゃない。ファリッドのところに行くぞ」
「はい」
 ソラを伴ってすたすたと甚八が立ち去る。パピリオがぽつねんと取り残された 。
 少し離れたところでは、マニフィカ・ストラサローネが店を開いていた。こち らはのんきにぼーっと座っていた。街で偶然にマニフィカと知り合った親父がや ってきて、手書きのささやかな値段表を見てため息をついた。
「おいおい、1アクティはないだろう」
「あ、親方さん。だめですの?」
 ちなみにマニフィカは得意の魔法で用意した美味しい冷清水を売っていた。大 きな器から自由にコップに入れられるようにしてあって、値段は1杯1アクティ 。親方と呼ばれた男は、すばやくそれを10アクティに書き換えた。
「これでよしと。お金はちゃんともらうんだよ」
「はい、ありがとうございます」
 にこにこと笑う姿はおっとりとしていて、言われたことをわかっているのかど うかいささか怪しげだった。
 フレア・マナは双子の妹のアクア・マナに引きずられるようにして会場にやっ てきていた。
「僕、やっぱり……」
「だーめ。せっかくのパーティーなんだから楽しまなきゃだめですよぉ。そのた めのドレスアップでしょぉ」
「僕に買わせたくせに」
 普段は男のような格好をしているフレアは、今日は情熱的な真っ赤なドレスを 身にまとっていた。ポニーテイルにした長い金髪がドレスに映えている。頭には ディックにもらった花を指していた。慣れないスカート姿にいささか動きはぎこ ちないが、周囲の視線は集めていた。しかしそれがさらにフレアの緊張を高めて いた。対してアクアは、やはり花を頭に飾り清楚な青のドレスに身を包んでいた が、おくすることなく辺りを見回していた。
「さて、王子様はどこでしょうねぇ」
「王子様ってファリッド様のこと?」
「そうですよぉ。あ、いたですぅ……うん?ちょうど良いかも」
 アクアの視線はファリッドからそれて、マニフィカの屋台に向いた。天候にも 恵まれたし、ダンスで喉が渇くのだろう。そこには意外に人が立ち寄っていた。 視線を感じてフレアがぎくっとした顔になった。
「なにを考えているんだい」
「別に〜なんでもないですよぉ」
 あきらかにたくらみごとを隠した顔でアクアが笑う。とめようとしたフレアの 手はしかしアクアには届かなかった。人混みをすり抜けて青のドレスが遠ざかっ ていく。ダンスの輪からはずれたフレアはアクアを探してうろうろしだした。そ の手がひょいと取られた。
「せっかく来たのに踊らないのか?喉が渇いたんだったらこの眠りのエキス入り の飲みものなんてどうだい」
 そこにはディックがにこにこ笑いながら立っていた。フレアはディックの爽や かな笑顔に軽く赤くなりながら首を横に振った。
「あ、あの。僕、ちょっと用が」
「あはは、飲み物は冗談だって。眠っちゃったら意味ないからね。それより踊ろ うよ!」
「だから用があるって、わあ」
 ディックが有無を言わさずフレアの手を引っ張り、ダンスの輪の中に戻ってい く。慣れないドレスがこの場合仇になった。陽気なリズムに合わせて体がくるり くるりと回される。視界の端に青いドレスとファリッドの姿が入った。
『ここなら監視できるかな』
 体が回るたびに目標の姿が消えたり現れたりする。ディックはフレアが頭に飾 っている花を見てにっこり笑った。
「花、飾ってくれてるんだ。ありがとう」
「ああ、せっかくだから……」
 満面の笑みにつられてフレアもほほえんだ。
 出会い頭のどたばたで遅れて来たミルルとチルルは、来るなり見知った街の人 たちの歓待を受けて、その応対に追われていた。そこへリオルがやってきた。リ オルの側には光の精霊レイフォースが控えていた。その姿を見てミルルはやっと 機嫌を直して笑顔を浮かべた。
「こんにちは!この間、屋敷に来た人でしょう?その女の子、レイフォースって 言ったっけ?やっぱりきれいね」
 光の球に入ったレイフォースは、自身も光を放っていた。ミルルがまぶしそう に目を細める。レイフォースは球から出てくると、ミルルに向かって軽く会釈し た。
「こんにちは。また会えて嬉しいわ。リオルも喜んでいるもの」
「レイフォース!何を言うんだ」
 動揺は見せなかったがリオルが慌ててレイフォースの言葉を遮る。レイフォー スはくすくすと笑っていた。チルルがミルルの背中を押した。
「せっかくだから踊ってらっしゃいよ」
「え!え、ええと。じゃあ、1曲いいかしら?」
 ちょうどアップテンポの曲が始まったところだった。ミルルがとまどいながら 手を差し出すと、リオルはきまじめな顔でその手を取った。
 チルルがほほえみながら見送っていると、背後でどったーんと大きな音がして 何かが降ってきた。振り返ってみると星になったアルヴァートが生還したところ だった。はたと目が合う。チルルがにこっと笑うと、相手が先刻ぶつかった女性 だとわかったアルヴァートが、急いで体勢を整えながら礼を取った。
「さっきはごめんな。その、わざとじゃないんだ」
「あらあら、気にしないで。わかっているわ。それよりこれ、落としていかれた わよ」
 チルルが差し出したのはアルヴァートの笛だった。蹴り飛ばされたときに落と したらしい。ほっとした様子で笛を受け取ると、辺りを見回した。
「ちょっと場所が悪いかな。まあ仕方ないか。あ、なあお詫びって訳じゃないけ ど、オレの芸を見ていってくれよ」
「芸?」
 アルヴァートが笛を吹き始めるとそこに30cmほどの闇のかたまりが出現し た。闇のかたまりは光の精霊ルクスとくるくる回り始めた。きらきらと軌跡を描 いて光と闇の玉がロンドを踊る。幻想的な光景にチルルの目が輝いた。踊り疲れ て一休みしていた人たちも何事かと集まる。アルヴァートは次々に曲を披露し、 精霊たちを踊らせていった。曲が終わるたびに拍手が起きる。その一角に人だか りができた。  その中にホウユウ・シャモンがいた。たまたま人の流れに押されてきたのだが 、その視線がチルルの胸にとまった。
『お、巨乳♪』
 資産家の娘だけあって、着ている服も上等のものだ。光沢のある布地を押し上 げるように胸が柔らかな曲線を描いている。大きく開いた襟ぐりから谷間がのぞ いている。しかしおっとりした雰囲気が清潔感を醸し出していた。ホウユウはさ りげなくチルルに近づくと、さっそくダンスの申し込みをした。チルルが嬉しそ うに華やかな笑顔を見せる。差し出された手を取ろうとしたとき、胸に付けてい た花がひらりと落ちた。
「あら、いけない」
 拾い上げようとかがみ込む。その瞬間、何かが飛んできてかがんでいたチルル の背中の上を通過し、正面にいたアルヴァートに当たった。 「うわっ、なんだこれ!」
 声にホウユウたちが見ると、服にべっとりとインクの染みができていた。おひ ねりをかき集めあわててアルヴァートが退散する。何が起きたのか理解できない でいたチルルの手をホウユウが取った。
「なんだったんだろうな。ま、とりあえず踊ろう」
「え、ええ」
 手を取り合ってダンスの輪の中に入る。くるっと回る。回るたびに2人の周囲 で悲鳴が上がった。次々に周辺にいた人物が服にインクの染みを作っていくのだ 。運が良いのかなんなのか、チルルとホウユウは被害に遭わない。それに歯がみ していたのはホウユウの妹のアオイ・シャモンだった。先刻まではディックを手 伝って花を配ったりしていたのだが、ホウユウが来たのを見つけて、その動向を うかがっていたのだ。そしてホウユウとチルルが接触するなり、ガンランチャー を構えていた。弾はペイント弾だ。それでチルルを退けようとしていたのだが、 どうやらチルルの強運の方が勝っていたようだ。
「あたいの弾をかわすやて〜?あの巨乳女、そんなに強いんやろか」
 単純に運が良かっただけなのだが、アオイには通じなかったらしい。それなら ばと近づいていこうとしたら、背後からミルルに肩を押さえられた。
「ちょっと!なによ、それ。祭りになんてものを持ってきているの。まさかあな たが兄様を狙っているんじゃないでしょうね」
「はあ?あたいはあの女をどかしたいだけやわ」
「あの女って?」
「せやから。あれ?」
 いつの間にかホウユウの側からチルルは居なくなっていた。代わりに非常に長 身のタキシード姿の人物がいた。背が高くてタキシードを着ていても、体つきか らは女性的な雰囲気が漂っていた。その男装の麗人はホウユウににっこり笑いか けると、「シャルウィダンス?」と声をかけた。ホウユウも決して背が低いわけ ではなかったが、いかんせん相手が高すぎて見上げる形になる。しかしダンスを 申し込まれて断るのもサムライ魂が許さない。こくんとうなずくと、手を差し出 した。
「ジュディ・バーガー、イイます。ヨロしくネ!」
「ホウユウだ」
「ForYou?」
 ホウユウの名乗りを聞き違えたジュディの胸が高鳴った。「初対面でForY ouだなんて大胆な!」。ドレスが着られずタキシードだったのをいささか残念 に思っていたジュディは、会場に来た当初は場違いなという思いを抱いていたの だが、それですっかり機嫌を直した。そしていそいそと花を差し出す。差し出さ れた方のホウユウは、その意味がわからないままに反射的に受け取っていた。
「あ〜!」
 アオイが叫んでランチャーを構え直す。ミルルが背後からがっしり押さえ込ん だ。リオルもやってきて2人かかりでアオイをダンス会場から連れ出した。
 サナテルの街のダンスの特徴は、相手が次々に変わることだった。チルルがホ ウユウと1曲踊って離れたのもそのせいだった。ミルルもリオルと1曲踊っただ けだった。しかしそれだけで気分は疲れた感じになっていた。アオイを連れ出す とふうとため息をつく。と、目の前に手が出てきた。ひょいと見上げると、立っ ていたのはアルトゥールだった。下着を見られたことを思い出してミルルの顔に 血が上る。アルトゥールは赤くなってそっぽを向いたミルルに苦笑して、強引に その手を取った。
「ちょっと、なによ!」
「1曲お相手してくれるかな?」
 おりしも曲は優雅なものに変わっていた。ミルルも良家の娘として一通りの作 法は仕込まれていた。それゆえアルトゥールのダンスの技量が並はずれて良いこ とにすぐに気づいた。踊り始めて逃げ出すのも性に合わない。しぶしぶつきあっ ているうちに、少し落ち着いてきた。顔はまだ赤かったが、態度が少し軟化した のを感じ取って、アルトゥールはなめらかに踊りながらミルルの耳元でささやい た。
「さっきは本当にごめんね。わざとじゃないって信じてくれないかな」
「もう、いいわよ!こっちも思いっきりはたいちゃったし、それでおあいこって ことにしてよ」
「ありがとう」
 くすっと笑って腰に回した手にわずかに力を込める。ミルルがますます赤くな った。
 風は穏やかに吹いていた。わいわいとにぎやかな会場の上を大きなシャボン玉 が飛んでいる。シャボン玉の中に入っているのはリュリュミアだった。薄緑色の 透け感のある布地を幾重にも重ねたような服装のリュリュミアは、眼下のにぎわ いに惹かれてふわふわと下降してきた。
「みんな楽しそう〜」
 にぎやかな様子にうっかり気を取られて、門に近づいていたことに気が付かな かった。はっとしたときにはシャボン玉が門に触れて、ぱちんとはじけて消えて しまった。リュリュミアの体が空中に投げ出される。ぽーんと飛んでいった体は 、ファリッドの腕の中にすっぽり収まった。
「大丈夫かい?」
 空から人が降ってきたことに驚いたものの、とりあえずそう聞いてみる。リュ リュミアは驚いたようにライトグリーンの瞳を見開いていたが、問われてにこり とした。
「ありがとぉ。ここはにぎやかだねぇ。みんな楽しそう」
「お祭りだからね。来たばかりかい?1曲どう」
「は〜い、喜んで〜」
 ファリッドもすでに何人とも踊っていたが、疲れも見せずにリュリュミアと輪 の中に入っていった。あーと見送ったのはアルティだった。先日の1件もあって 、護衛を付けていると言っても自分でも気を遣っていたのだ。が、おとなしくし ている相手でも、してもらえる立場でもなかった。のんきに踊っている姿を見な がらため息をついていると、くすりとかすかな笑い声がが聞こえた。見ると夜空 色のドレスを身にまとい、ショールを肩にかけたセサ・カルサイトが優雅にほほ えんでいた。
「大変そうね」
 アルティがかすかに肩をすくめる。セサは輪の外にアルティを誘った。さりげ なく腕を組み、妖艶な笑顔で見上げながら歩いて行く。アルティの視線はそれで もファリッドを追っていた。
「噂は聞いているわ。ファリッド様、最近いろいろ災難に会われているらしいわ ね。側仕えの貴方も、さぞご苦労の多いことでしょう」
 視線は動かさないままアルティが答えた。
「護衛するばかりが術じゃないのはわかっているが。人付き合いしないわけにも いかないからな」
「ファリッド様の回りには人がたくさんいらっしゃるようね。あの方々は?」
「護衛の者もいるが……」
 と、そこで言葉を濁す。リュリュミアと踊り終わったファリッドは、また近づ いてきた別の人物と手を取り合っていた。セサはアルティの頬に手を当てて顔を 自分の方に向けさせた。
「奥方候補もいらっしゃる、でしょう?だから無下にはできないのよね。心配は 絶えないでしょうけれど、わたくしで良かったらいつでも相談に乗るわ。覚えて おいてね」
 わずかにしなだれかかるように体をすり寄せる。極上の笑みを向けられて、ア ルティが言葉に詰まった。触れあった部分が柔らかく感じられる。自分を最大に 生かす術を心得ているセサの態度に、アルティはいささか落ち着かない心持ちに なった。かといってふりほどくのもためらわれる。困った様子のアルティに、セ サの笑みがますます華やかになった。
「そんなに警戒なさらないで。ファリッド様の奥方となれば、未来の領主夫人で しょう?人柄を見極めるのも大切だし、結婚するのだったら相性なんかも大切に なってくるわ。そういったものを掴むにはこつがいるの。わたくしはそういうこ とが得意という話よ。ファリッド様は?」
「浮いた噂はなかったからな。まあ、明るくてしっかりした人が好みではあるよ うだが」
「そう。それは良い事ね」
「その前に今の事態をなんとかしないといけないんだろうが。ん?」
 と、少し離れた場所の方が騒がしくなってきた。
 クレイウェリア・ラファンガードは踊りの輪の中には入らないで、屋台を冷や かして歩いていた。立ちこめる美味しい匂いに食欲が押さえられないでいたのだ 。魚料理、お菓子、焼き物等々。買っては腹に納めを繰り返しながら歩いていた が、ふと前方で騒ぎが起きているのに気づいた。そこも屋台らしい。ちょうど手 が空いていたのも手伝って駆け寄っていくと、マニフィカが見るからに人相の悪 い連中に怒鳴られているところだった。
「やいやい、最初は1アクティだったじゃないか。なぁんで10アクティになっ てるんだ」
「高く売るんだったらそれなりのショバ代を出してもらおうじゃないか」
「ショ、ショバ代ってなんですかぁ?」
 突然わいのわいのと言われて、のんきに水を売っていたマニフィカが半べそを かく。取り囲んでいた男の一人が手を差し出した。
「金だよ、金!この祭りを仕切ってるのはオレ様たちなんだ。手数料を払っても らおうか」
 完全ないいがかりなのだが、おっとりしたマニフィカは格好の獲物だったよう だ。騒ぎに周辺にいた人たちが遠ざかって行く。クレイウェリアだけがさっそう とマニフィカと男たちの間に割って入った。邪魔者出現に男たちの目の色が変わ る。クレイウェリアの威風堂々たる竜の角が圧倒してくる。気圧されながらも男 の一人が怒鳴り声を上げた。
「やい、邪魔する気か!」
「こんな可愛い女の子から金を巻き上げようなんて根性が気にいらないね。代わ りに相手しやるよ、かかってきな!」
「ちくしょー言わせておけば!」
 どどど、ばきっ、ずかっ、ぼこん!てんでに殴りかかっていた男たちは、しか しクレイウェリアに触れることすらかなわなかった。はじき出された気弾が男た ちの体を次々に空中に放り出して行く。何度かそれを繰り返し、意気消失した男 たちが捨て台詞をはいて去っていく。姿が見えなくなってマニフィカが大きく息 をついた。
「ありがとうございますぅ。怖かったですぅ〜」
「礼なんていいよ。それくらいならあたいとお茶でも飲まないか?」
 立ちすくんでいたマニフィカの隣に立って、さりげなく肩を抱く。マニフィカ が赤くなった。
「え?ええ、いいですよ。でも、あの、その、肩……」
 相手が女なのはわかっていたが、ぎゅっと抱かれてマニフィカの胸が高鳴る。 水を差してきたのはアクアだった。
「仲がいいですねぇ。ところでこれもらっていっていいですかぁ?」
 アクアは手にしたお盆に、水の入ったコップをいくつも乗せていた。騒ぎでみ なが離れていっていたのに、アクアだけはこっそり近寄っていたのだ。もちろん 男たちを相手にするためではない。目的は他にあった。その目的を達するために 、今は人の良さそうな笑顔を浮かべていた。マニフィカはアクアの仕掛けに気づ かないままにこにこと笑った。
「あ、どうぞ〜」
「どうも〜」
 目指すはファリッドたちのところだった。ちょうど曲が終わったところで、フ ァリッドの回りには次の順番を待っていた女性たちがひしめいていた。アクアは 手にしたコップをどんどんその女性たちに配っていった。さりげなく渡されて受 け取った女性たちが、何も気づかずに水を口にする。アクアが口の端に笑みを浮 かべた。
「アクア、なにしてるんだ」
 笑みを見とがめたフレアが、言い寄る男性を振りきってやってきた。アクアは 涼しげな顔でにこにこと笑っていた。
「お水を持ってきただけですよぉ」
 と、回りにいた女性たちが顔色を変えた。そしてそそくさと立ち去っていく。 ファリッドが怪訝そうな顔をしていると、お盆をフレアに押しつけたアクアが、 ファリッドに手を差し出してきた。
「次の曲が始まったみたいですねぇ。お相手して頂けますかぁ?」
「あ、ああ。よろしく」
「アクア!?」
「それ返してきて下さいねぇ」
 強引に用事を押しつけてフレアを退散させる。フレアがマニフィカの屋台に戻 ってくると、そこでも急病人が発生していた。
『まさか……』
 事態がわからずおろおろしているマニフィカと、なだめているクレイウェリア 。ちょうど水が切れたこともあって、クレイウェリアはさっさと片づけさせマニ フィカを連れ出した。フレアはうずくまっている人に声をかけた。
「大丈夫?」
「水を飲んだら急におなかが……」
 そう言えばファリッドの側から離れていった女性たちもおなかを押さえていた ようだ。フレアが腹の中で叫んだ。
『一服盛ったなー!』
 振り返った視線の先では、アクアが楽しげにファリッドと踊っていた。
 アクアの踊りは見事なものだった。しかしくるりと回った瞬間、側にいたアゼ ルリーゼの足を思い切り踏みつけてしまった。
「あ痛〜!」
 やはりちょっとサイズが合わなかったようで、超ミニになってしまったメイド 服をひらひらさせてアゼルリーゼが痛がる。アクアが「きゃああ」と悲鳴を上げ た。
「す、すみません〜ごめんなさい〜」
「い、いや」
 次のターンでは側で控えていたトリスティアを踏みつける。メイド服姿の2人 が仲良く痛がっているのを、ファリッドがぼうぜんと眺めた。曲が終わるとすぐ に駆け寄る。アクアが追いすがったが、ファリッドはにこりと会釈しただけだっ た。
「私のせいですね〜」
「いやいや、気にしないで」
 とりあえず2人を連れて行こうとしたファリッドの背中に、ソラがぶつかって きた。人混みに押されてよろけたらしい。ファリッドが振り返ると、腕の中に倒 れ込んできた。
「大丈夫かい?きみもこっちへおいで」
「ありがとうございます」
 ソラは甚八の言いつけ通りにファリッドに寄り添うように歩き始めた。
 祭りは山場を越えて終盤に差し掛かっていた。踊りの輪から離れていくファリ ッドの方にチルルとミルルも向かった。
「無事に終わりそうね、アルティさん」
 リーナもアルティに声をかけてからファリッドの方へ向かう。ことが起きたの はファリッドが門に近づいたときだった。
 祭りの人混みに隠れていたテネシーが遠方から門に火を放ち、さらに根本を風 でさらってファリッドの方に向けて倒してきたのだ。ごうと燃え上がる門。さす がに驚愕の色を浮かべたファリッド。いち早く反応したのはリーナだった。トラ ンジョン・クロスでファリッドの側に転移して、すかさず連れて離れた場所にさ らに転移する。倒れてきた門をがしっと掴んだのはソラだった。やってきた甚八 の指示で、トリスティアやアゼルリーゼが避難した後、ゆっくり門を地上に降ろ す。門の火の勢いはすさまじく、ソラでなかったら大けがは免れなかっただろう 。失敗にテネシーは素早く待避していた。
「お兄様」
「兄様、大丈夫!?」
 チルルとミルルがファリッドに駆け寄る。飛んできた火の粉からリオルがミル ルをかばう。ファリッドは難しい顔をして燃えさかる門を見つめていた。アルテ ィとセサもやってきた。
「偶然……なわけはないよな」
「やりかたが派手になっていきますね」
 こうして祭りは大騒ぎのうちに幕を閉じた。

                    ○

 ダンスパーティーから数日後。さすがに外出を控えていたファリッドに従うよ うに、他の兄弟たちも館でおとなしくしていた。だが豊穣祭は続いていたので、 館への人の出入りは多かった。護衛として雇われた者たちも、せわしなく出入り していた。
 そんなある日。気晴らしに出かけようとした末っ子のローダーは、館の回りで うろうろしていたアリューシャ・カプラートを見つけた。
「きみ、うちに何か用?」
「あ、あのう。あなたはこの家の人?」
「うん、そうだよ。ローダーって言うんだ。きみは?」
「わたしはアリューシャって言います」
 相手がさほど歳が離れていない子供だったことに安心して、アリューシャが肩 の力を抜く。ローダーはアリューシャを伴って館にまた入った。
「用があるなら誰か呼んでくるよ」
「あ、ま、待って下さい。今度このお屋敷で、ご領主様の誕生パーティーが開か れるんですよね?わたし、実は歌姫見習いなんです。それでそのパーティーの余 興に、歌を歌わせて頂けないかと思いまして……ローダーさんから屋敷の方にお 願いしてもらえないでしょうか」
 ローダーはしばし考え込んでいたが、ちょうど通りかかったサクヤを呼び止め て話をした。
「そうですわね。今年の誕生パーティーは特別なものですし、よろしいかと。ア ルティさんも人手を増やすとおっしゃってましたし」
「人手を?」
「はい。一般のお客様も大勢呼びたいそうですので、臨時の使用人を雇いたいと か」
「ふうん、そう。じゃ、アリューシャの頼みも聞いてもらえるのかな」
「お願い致します」
 アリューシャが緊張しながらサクヤに頭を下げる。サクヤはにこっと笑ってう なずいた。
「こちらへいらっしゃい。詳しい話は向こうでしましょう」
「はい」
 メイド部屋に向かうサクヤとアリューシャを見送ってから、ローダーはつぶや いた。
「臨時の使用人かぁ。大丈夫なのかな」
 領主の40歳の誕生パーティーだから、一般客も大勢呼ぶのだろう。またもや なにか波乱がありそうな予感にローダーは襲われていた。

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