「赤い沙漠と緑の植林」(植林編)

ゲームマスター:夜神鉱刃

【これまでの経過】
マギ・ジスタン世界紹介◆ ◇「聖アスラ学院のお化け退治作戦」◇ ◆「レヴィゼル教会公園の新年祭に参加しよう!」◆ ◇「ウマドラの卵料理が食べたい!!」

第一回予告◆ ◇第一回新着分

【シナリオ参加募集案内】(第2回(最終回)/全2回)

 
 シルフィーの調査隊が、「赤い沙漠」でバシリスクたちを清掃した後、その夜は「フレイマーズ大学環境科学研究所」の宿舎にみんなで泊まったのであった。

 そして翌日、疲れがとれた一同は、本日の朝から昼の時間帯にかけて、いよいよ植林作業を開始することになる。

 本日の詳しい段取りを決めるため、ファイアバーン所長とシルフィーは、それぞれの組織を代表して、涼しい会議室で話し合いを始めるところだ。

 シルフィーが、会議室の扉をノックして、開けると……。
 にこやかな表情のファイアバーンが、アイスコーヒーを飲みながら席で待っていた。
 客席には、隊長の分のアイスコーヒーも用意されていた。

「やあ、シルフィー! 昨日のモンスター退治は本当に助かったよ。おまえさんが連れてきた奴ら、なかなか腕が立つ者ばかりだったのう。さて、本日の本題だが……。おまえさん、植林はやったことあるかな? もしなければ、今からちょいと説明するが?」

「植林ねえ……。あなたとは古い付き合いだけれど、植林の手伝いをしたことはなかったね。うちの研究所の仕事でも植林なんて全然やらないし。うん、わからない。手っ取り早く、今日、何をするか教えてくれる?」

 隊長が即答すると、所長は、ホワイトボードにさらさらと板書した。

「本日やることは……。おまえさんたちが植林スポットを確保してくれたこの10カ所付近で苗を植える活動を行う。比率にすると、それぞれ、岩場が2、オアシスが3、人面岩が5といった分配だ。なお、それぞれの持ち場では注意点がある。岩場なら岩がごろごろ転がっているので力がいる。オアシスなら苗の成長を妨げる雑草の除去が必要だ。人面岩付近はマジック・スポットなので炎の砂が強いから、配布される『魔法の火消砂』に自分の魔力も余分に注入する必要があるのう……」

 ファイアバーンが板書を指しながら簡易に説明すると、シルフィーは、うんうん、と頷いていた。

「担当地域の分担はどうするの? 例えば……岩場だと力のある人がやるわけ? で、オアシスなら根気強い人がやって、人面岩だと魔力の量が多い人がやるのかな?」

 老人は、腕を組んで、うーん、と考える。

「いや、飽くまで目安だよ。必ずしも、戦士が岩場付近を担当して、魔術師が人面岩付近を担当しなければいけないわけではない。しかし、植林は自分が無理なくやれるところからやるのがコツなので、タイプに合わせて動いた方が賢明だろうな。ちなみにワシは、この通り、体力が余っているので、岩場付近の指揮を執ろう!」

 ファイアバーンは、両腕を上げて、マッチョのポーズを取った。実際に、この老人はかなり筋肉質の魔術師である。

「そうねえ……。あたしは魔力なら自信があるから、人面岩付近を手伝うよ。でもまあ、調査隊に参加したみんなには、注意点を伝えた上、なるべく自分の好きな場所で植林をやっていい、と伝えておくね」

 シルフィーがそう答えると、所長は、一枚の紙を幼女妖精に配った。

「ん? これは……作業手順ね?」

「そう。基本的な作業の流れは、このプリントに記されているとおり、11の作業過程に分けて行うこととなる。簡単に説明すると……。まず苗木(ポプラ改という品種を使用)を運び、保水剤で苗を浸し、砂質改善をして、魔物除けのかかしを作り、苗の埋める位置を決め、穴を掘り、苗を植え、埋戻し、バケツリレーをして水を注ぎ、土を整えて完成。最後は、各担当地域のメンバー全員で記念撮影をして、植林グッズを配って終了!」

 老所長が、プリントの流れをざっと説明すると、隊長はふむふむ、と頷いていた。

「なるほどねえ……。じゃあ、調査隊のみんなもきっと植林は初めてだろうから、このプリント渡しておくね!」

「うむ、頼む。ところで、このプリントに書いてある手順や各担当地域の注意点は、『募集案内』の『解説』で詳しく出ておるよ! 皆の者は、よく参照してから植林に取り組んでみておくれ!」

「じいちゃん……。何気にメタ発言やめようよ?」

 ところで……。
 と、一点、気になったシルフィー。

「あのさ……。最後にもらえる『植林グッズ』だけれど……。じいちゃん、あたしたちのモチベーションをずっとそのグッズで引っ張ってきたみたいだけれど……。それ、具体的にどんなものなの?」

 唇に指を当てて質問する妖精に向かって、所長はニカっと笑う。

「それは……最後まで秘密だ!!」

「ええー! じゃあ、ヒントだけでも! それって、前回の途中経過の報酬でもらった『フレイマーズ特製激辛にんじんドリンク』よりもすごいの?」

 ワッハッハ、とファイアバーンは豪快に笑い出した。

「もちろん! あのにんじんドリンクを遥かに凌ぐすごいグッズだ!!」

「へえー! にんじんドリンクよりもすごいにんじんが手に入るんだ!! よっしゃあ、がんばろう!!」

 シルフィーは何かを勘違いして、目を輝かせ、よだれを垂らしているようだが……。
 記念品で何をもらえるかは、最後までのお楽しみ。
(怒涛(どとう)の超展開だったら……ごめんね!)

【解説】

 今回の「植林編」にて、いよいよ苗を植える作業を行います。
 苗は、「ポプラ改」といった、ポプラの改良品種で沙漠でもぐんぐん育つタイプです。(ちなみに大きさは、手の平サイズの小型です)

 前回の清掃編で皆様が攻略してくれたおかげで、植林スポットは10カ所確保できました。

 現段階で、マップ上、以下のようなスポット確保具合になりました。

<マップ>

 

 なお植林スポットの数10カ所というのは、苗を10個植えると言う意味ではなく、作業量の比率の目安です。

 岩場2:オアシス3:人面岩5

 という比率でお考えください。

 また、この10カ所の意味は、各スポットに、最低1PCいないとシナリオがクリアできない、というわけではありません。飽くまでスポット数は、作業量の目安ですので、お好きなスポットでお好きなだけ植林を楽しめます。もし、スポットごとに人数が足りない場合は、NPC(環境科学研究所のメンバー)が助けに来てくれます。

 では、「解説」の下記で、詳しい植林のやり方を説明させて頂きます。ぜひご参照の上、お好きなように植林作業の「アクション」をかけてみましょう。

<アクションのかけ方>

 今回のシナリオでは、植林を行いますが、その際に「アクション」のかけ方のヒントを提示させて頂きます。

1.まず、【アクション案内】から自分が担当したい地域を選びましょう。<各担当地域の注意点>を参照して、自分がやりたい場所を選びます。あるいは、<NPCデータ>を参照して、絡みたいNPCと一緒に作業をするという方法もあります。

*今回は、前回の清掃編みたいに、担当地域場所の移動を基本的に行いません。最初に選んだ担当地域で最後まで植林作業をして頂くことになります。

2.次に、<植林作業の基本的な流れ>を参照して、当日の流れを一通り把握しておきます。どの担当地域であっても、基本的に11の作業手順の流れで進行していきます。各作業手順の詳細を読んで、自分のキャラならば、この作業手順ではこう動く、といったイメージをしてみましょう。また、地域ごとに<各担当地域の注意点>もありますので、この注意点ではこう動きたい、といったイメージもしてみましょう。

3.今回のシナリオは、よほどのことをしない限り、ゲームオーバーにも失敗判定にもなりません。難易度は割と低めです。各自、ご自分のお好きなように、植林作業といった仕事を、ゆるりと楽しんでみてくださいね。



<赤い沙漠の気候と風土>

フレイマーズ国家は基本的に一年中、真夏です。
「赤い沙漠」の昼間の最高気温は45℃ぐらいに達することもあり、夜には冷え込みます。

植林当日は、朝から昼にかけての時間に行われます。
当日の気温は40℃〜45℃です。

年間降水量は250ミリ程度です。
特に雨季の6月〜8月に集中して降る傾向があります。

天気予報によると、植林当日の天気は晴れです。
雨や竜巻の心配はありません。

砂の構成粒子は、基本的に「土漠」(小さい目の細かい土の沙漠)です。
たまに、火を噴く火炎魔術の元が砂に含まれているので注意が必要です。
砂の色は、「深い赤」です。
また、「岩場付近」は、「岩石沙漠」(大きな岩が転がっている沙漠)のエリアも少々あります。



<植林作業の基本的な流れ>

1.苗木を運ぼう

植える苗、スコップ、バケツといったものを植林地まで運びます。
苗木は根を土で覆い、太陽や風にさらされないように気を付けましょう。

苗はひとり(1PCにつき)1個から10個まで、お好きな数を植えられます。

2.保水剤(吸水ポリマー)を使おう

苗を植える前に、苗の根を保水剤入りの水が入ったバケツに浸しましょう。
保水剤が入ることで、水の量が少なくても苗が着実に育つようになります。

3.砂質改善をしよう

「赤い沙漠」は、ご存知のとおり、たまに砂場から炎が噴き出すダメージ床みたいになっています。

「魔法の火消砂」といったアイテムが配布されます。各担当地域において、植林を開始する前の場所で「魔法の火消砂」をまいて、砂質を改善しておきましょう。目安は、自分が植林をする場所、そして植林する周辺の場所に「魔法の火消砂」を一振りまきます。砂質が改善されると、以後、砂は炎を噴かなくなります。

4.モンスター除けのトラップを作ろう


前回の清掃編のように、放っておくとまたモンスターたちが後日にやってくるかもしれません。モンスターたちが植林地を荒らさないように、事前にトラップをまいておきましょう。

「魔導かかし」(人型サイズ)といったアイテムが配布されます。このかかしを1体、植林したい場所付近に刺しておくと、バシリスクを始めとした沙漠のモンスターたちが寄り付かなくなります。

5.植林を開始しよう

研究所が事前に引いてくれたロープがあります。

岩場付近なら、岩場の周囲。
オアシス付近なら、オアシスの周囲。
人面岩付近なら、人面岩の周囲。

ロープに沿って一列に並びましょう。
その位置から、穴を掘る位置を確かめましょう。

なお、苗を植える際には、「草方格(そうほうかく)づくり」という「草でできた枠」が提供されています。この枠の中に入るように、苗を植えて行きます。

6.穴を掘ろう

掘る位置が把握できたら、穴掘りを行います。
穴は、直径40cmほど、深さは100cmほど、掘ります。
砂がくずれると、掘りにくいこともあります。
穴掘りを進めて行くと、湿り気を帯びた砂も出て来ますので、乾いた砂と湿った砂を分けましょう。

7.苗を植えよう

穴掘りが終わったら、保水剤に浸した苗を穴に入れます。
ロープや「草方格づくり」から位置を確認して、ちゃんと植えられたか再確認をしましょう。

8.埋め戻そう

苗を穴に入れたら、埋め戻します。
苗の位置を固定して、湿った砂から埋めて行きましょう。
穴の70%まで埋め戻せたら、足で踏んで固めましょう。

9.バケツリレーをしよう

ポンプから水を汲み上げて、大きなバケツに水を入れます。
みんなでバケツリレーをして、70%まで埋め戻した穴に水を注いで行きます。
バケツリレーをする際には、列の移動の指示係、空のバケツを集める係など決めておきましょう。
効率的な作業にはチームワークが大事です。

10.土を整えよう

水が植え穴に注がれて行ったら、残り30%の穴を埋め戻しましょう。
その後、足で踏んで砂場を固めます。
踏み方が不十分ですと、風で倒されたりしますので、凹凸ができないように着実に踏み固めましょう。

11.完成


これにて植林作業は完了です。
最後にみんなで記念撮影をします。



<各担当地域の注意点>

・岩場付近

岩がごろごろと転がっています。
植林をする際に、岩が邪魔なこともたまにあります。
もし、岩が苗木の邪魔をするようでしたら、削岩もしくは岩の移動をお願いします。

この植林スポットは各担当地域の中でも最少規模です。

この担当地域に多数のPCを投入すると、ひとりあたりの仕事量が少なくなり、早めに植林が終わってしまいます。その分、他の担当地域の作業時間が多くなってしまいます。送り込む人数を事前に絞っておきましょう。

なお投入PCが少ない場合は、NPC(環境科学研究所のメンバー)も手伝ってくれます。
逆に投入PCが多い場合は、NPC(環境科学研究所のメンバー)はこの担当地域に参加しません。

この担当地域で向いているタイプ:戦士系PCなど力持ちな方(力仕事があるので)

・オアシス付近

オアシス付近に、「プイプイ草」(紫で目立つ草)という雑草が生えています。
この雑草は、苗木である「ポプラ改」の成長を妨げます。
オアシス付近で植林をする際には、事前に「プイプイ草」を摘む必要があります。
目安としては、自分が苗を植える場所とその周囲の雑草を駆除しましょう。

この植林スポットは、各担当地域の中でも中規模です。

この担当地域に投入するPC数は、「多過ぎず、少なすぎず」が、良いでしょう。
なお投入PCが少ない場合は、NPC(環境科学研究所のメンバー)も手伝ってくれます。
逆に投入PCが多い場合は、NPC(環境科学研究所のメンバー)はこの担当地域に参加しません。

この担当地域で向いているタイプ:根気強い方(対プイプイ草駆除)

・人面岩付近

人面岩付近は、前回と同じく、「マジック・スポット」です。
炎を噴く砂も他の担当地域に比べて、強力になっています。

植林を開始する前に、砂質改善の作業が行われますが、ここでの作業では、「魔法の火消砂」に、ご自身の魔力も使って流し込んでおきましょう。魔力が注がれ、より強化した「魔法の火消砂」をまくことで、「マジック・スポット」によって強化された炎を噴く砂も静まります。

この植林スポットは、各担当地域の中で最大規模です。

この担当地域でPCの投入する数が少ないと、ひとりあたりの仕事量が多くなり作業終了までに時間がかかってしまいます。

しかし、NPC(環境科学研究所のメンバーたち)も手伝ってくれますので、少数のPC投入でも、ゲームオーバーになることはありませんのでご安心ください。

この担当地域で向いているタイプ:魔術師系PCなど魔力が強い方(砂に魔力を流し込むので)


<味方NPCデータ>

・シルフィー・ラビットフード

聖アスラ学院現代魔術研究所の調査部隊隊長。
前回に引き続き、昔の仕事仲間のファイアバーンに頼まれて、植林作業を手伝いに来た。
小学生を凌ぐわがままな性格である反面、100歳を超える妖精のロリ召喚魔術師。
植林作業では、主に魔力が必要な「人面岩付近」を手伝う予定。

・ドーン・ファイアバーン

フレイマーズ大学環境科学研究所の所長。
前回のモンスター清掃に引き続き、シルフィーの調査隊に植林作業の協力要請をした。
研究所では年長者でリーダーであるが、ファンキーでスケベな一面も持つ。
年齢は60歳で体型はマッチョ。魔術師としても腕は良いが、どちらかというと体力に自信あり。
植林作業では、主に体力が必要な「岩場付近」で働く予定。

・フレイマーズ大学環境科学研究所の所員たち

ファイアバーンの部下たち。
PC様方の各担当地域の投入具合次第で、人数調整のために出没する。
主に20代から40代の男女で構成されている。全員、魔術師で沙漠研究者。

・魔導ラクダ

今回のシナリオでは、各担当地域の場所まで皆様を運んでくれる。
前回のシナリオみたいに、各担当地域間の移動は基本的に行わない。

【参考イメージ】注意:写真は飽くまでイメージです。実物の商品・実際のサービスとは異なることもございますので、あらかじめご了承ください。

【植林作業】



解説:いよいよ今回は「赤い沙漠」に苗を植えて行きます。各担当地域(岩場付近、オアシス付近、人面岩付近)によってそれぞれ「注意点」がありますので、気を付けましょう。しかし基本的な作業の流れは同じですので、それぞれの特徴を踏まえた上、ご自分がもっともやりやすい場所にて植林を行いましょう。植林のコツは、「無理なくやれるところからゆっくりがんばる」です。


【植林グッズ】

解説:「赤い沙漠」の植林作業を手伝ってくれた皆様に対して、最後に環境科学研究所の方からお礼の品もございます。ささやかですが、「使える」物をお届けする予定です。「植林をがんばった」という記念品は、きっと皆様の今後の人生で良い思い出になることでしょう。


【予定完成図】


解説:皆様には、苗を植える作業を手伝って頂きますが、植林作業そのものは今後も引き続き行われます。皆様が帰国された後は、環境科学研究所のメンバーたちで3年ほどの時間をかけて植林を完成して行く予定です。「参考イメージ」に映っている緑に生い茂った写真は、植林の「予定完成図」となります。

【アクション案内】

y1.岩場付近で植林作業をする
y2.オアシス付近で植林作業をする
y3.人面岩付近で植林作業をする
y4.その他

*アクション案内補足

補足:今回のシナリオは、基本的に「アクション案内」にて選択した地域でのみ植林作業を行って頂きます。

補足2:このシナリオは、前回不参加のPC様方でも途中参加することができます。また、前回参加されたPC様方の今回参加は任意となります。



【マスターより】

 前回の清掃編では、おつかれさまでした。割と難易度は高かったかと思いますが、皆さん、少人数なりにうまく戦えていましたね。実は、前々回のウマドラシナリオ第1回の調達編では、戦闘の難易度がちょっと高すぎたかなと反省しておりました。ですから、前回の植林シナリオの清掃編では、難易度をもう少し低く調整しておきました。

 さて、今回、植林シナリオの最終回です。我ながら、「変なシナリオを作った」と自負しております。と、言いますのも、同業他社のPBWでも、別業他社のオンラインゲームでも、「植林ゲーム」といったシナリオを全く見かけないからです。いやいや、これは新天地を開拓してしまったということでしょうか。今回のゲームシステムは試行錯誤の末、作ったものですので、お楽しみ頂ければ幸いです。